渚に独り
2016年11月21日
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おまえさ、ほんとよく喋んね。…ああそう。いいや、よくそんな次から次へと言葉が生まれるなと思って。おまえ頭の回転早いもんね。僕と違って。謙遜すんなよ、褒めてんだから。別にいいけどさ。おまえが海の話なんかするから僕も海行きたくなったわ。江ノ島?行かない行かない。もっと綺麗なとこ。沖縄とかかな。おまえ、海は特別な存在だとか言ってるくせに、場所とかこだわれよもっと。ああ、こういうとこ?神経質だって?ハイハイ。…あーまあ、そっか、そもそも海ってひとつしかないよね。いちいち名前が付いてるのに慣れちゃってさ、忘れちゃうんだよそういうの。けど、よくよく考えたらすっごい烏滸がましいな。人間が大自然に名前つけるとか。いや、しょうがないんだろうけどね。ないと不便だし。そう、名前とか性別とかってさ、ないと不便なんだよな。個人を識別するのにも、誰かと結ばれるのにも…何。また始まったって?こっちのセリフだよそりゃあ。僕のよりおまえの哲学のがよっぽど不可思議だからね。いやいや、ほんとに。けどさ、実際そうでしょう。僕に名前がなかったら、おまえが呼ぶ時に不便じゃん。…は?つけんの?名前?…うしお?さんずいに朝、で、潮。なんでまた。…海みたいだから?初めて言われたわそんなん。いや別に、嫌ではないけどさ。おまえにとって海が特別なら、海みたいな僕も特別なの?
…ふうん。そう。
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