先生と僕
2016年11月21日
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長い式典が終わって、貰ったばかりの黒い筒をバトンよろしく握りしめ、僕は弾けたように体育館を飛び出した。
くそっ、ちくしょう。きらいだ、こんなもの。なんだって僕の3年間がこんなものにされないといけないんだ。こんなくだらない式典に。こんな薄っぺらい紙切れに。こんな小さな判子なんかに集約されないといけないんだ。僕が何のためにこの日を待ってたのかなんて知らないくせに!
辿りついた保健室で先生は、息を切らした僕を見て困ったように笑った。
「卒業式までこんなとこ来るんじゃないよ。心配するでしょう」
おかしいよ先生。普段ジャージ姿の山崎先生だって、今日ぐらいはスーツを着ていたのに。先生はいつものように白衣を着て、錆び付いた回転イスに座ったまま。
「だって先生、約束、したじゃないですか」
「約束はしてない」
「…覚えては、いるんですね」
へらりと笑う先生は、真っ白で、ほんとのほんとに、天使みたいだった。
「あー、まーその、なんとなくね」
そうやってまた、はぐらかすんですか。先生は大人だから。僕は子供で生徒だから。でももう、いいじゃないですか。僕もうここの生徒じゃないんです。3年前のあの日、僕が宣言した口約束。それも先生は一方的なものだと言ってたけれど。それでも、僕は約束したじゃないですか。
『先生、僕が卒業するまで、誰のものにもならないで』
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